あまり実感をともなって感じることは少ないかもしれませんが、実は冬の台風は減ってきています。
しかし、日本海側で冬に発生する雷は以前よりも増えてきています。
今回は、これらの謎について説明していきたいと思います。
日本で冬に台風が少ないのは?日本海側で冬に雷が多いのは?
エルニーニョ現象がだんだんと終息に近づいてきていることが原因です。
日付変更線の近くから南米沿岸付近での海面の温度が平年より上昇し、それが1年ほど続く現象を指します。
過去の結果によると、この現象が終わる年は台風の発生が少なくなる傾向があり、インド洋での水温が高くなっています。
海の水温が上がると、冷たい水と温かい水が混じり合い、雲ができやすくなります。
つまり、インド洋から太平洋西部の赤道域にかけては、雲が発生します。
しかし、フィリピンの東海上では、赤道域へと向かう風の流れが下降気流を強めるため、対流活動が不活発となります。
このため、台風が発生しにくくなると考えられています。
日本海側における雷の増加の調査データ(田中明夫、1997ほか)を参考に話していきます。
10月から2月までの雷の発生回数を、次の2つに分けて比べてあります。
まず1941年~1970年の30年間と、次に1971年~1997年(1998年)の17(18)年間です。
前者の平均と後者のそれに差異が見られたのは、北陸で約9日、上越・中越で約8日と増えています。
この理由を明確に説明できる研究結果は、今のところ存在しません。
今の時点で言えるのは、ある時期のある場所、または、ある地域で、雷の日数が増えている原因についてです。
秋田県の高い地点の気温と雷が発生した日数の調査(工藤正哲、2001、気象庁研究時報、53、27‐35)によると、
地上では気温が上昇していますが、上空では気温が低下しており、大気の状態は安定していないそうです。
統計学的な特徴が見られるのは冬の時期だけです。
まとめ
日本海側で台風が減少傾向にあるのは、エルニーニョ現象がおさまってきているからです。
20世紀の後半にかけて一部の地域で雷の発生が多くなっているのは、地上と上空の温度差がその原因と言われてます。
台風の発生、雷の発生のそれぞれに共通して温度が関わっているとは、思いもしませんでした。